「若者の貧困」ってそもそもどういう状態? NPO法人サンカクシャへのプロボノを通じて私が学んだこと。【Collective Impact Base】
「Collective Impact Base」は、PwC Japanグループ内で社会課題の解決に関する研究や議論を行う場です。
社会課題のテーマごとに関心のあるメンバーが集まり、その課題を多角的に学び、解決方法をともに考える「コモンズ活動」を起点とし、コレクティブ・インパクトの創出を目指します。
社内のストリーム配信をきっかけに活動に参加し、NPOの事業計画やマニュアルの作成を支援
私がコモンズ活動に参画したのは、「若者の貧困×空き家問題」というテーマの社内ストリーム配信を視聴したことがきっかけです。すぐに活動をリードしていた方に連絡をとり、またキャリアコーチに報告し、参加しました。
若者の貧困をテーマにするコモンズ活動をしたいと伝えると、キャリアコーチからはすぐに「いいですね👍」と返ってきました。
私のキャリアコーチが新しい挑戦を前向きに考えてくれる人だからというのもありますが、PwCには若手の社会貢献活動を歓迎する雰囲気があると思います。
2週間に1回、30分のミーティングと聞いていたので、プロジェクトメンバーには特に事前に相談はしていませんでした。コモンズ活動を始めてからも、最初の想定どおり、プロジェクトに支障をきたさない範囲で活動できています。
最初は「若者の貧困×空き家問題」の調査を進めていましたが、徐々に若者の貧困の実態に焦点を当てて調査するようになりました。
若者の貧困を詳しく調査する中で、メンバーの1人が若者の社会参画を支援するNPO法人サンカクシャとつながり、プロボノ活動を開始することになりました。そして、事業計画作成支援(1)やマニュアル作成支援(2)などを行いました。
事業計画作成支援:企業に支援をお願いする際に、数値を使って将来のビジョンを示すための事業計画を作成し、プレゼン形式に仕立てるサポートをしました。
マニュアル作成:他のNPOと知識を共有し、また内部で情報を共有することを目的として、一部の事業に関するマニュアル作成をサポートしました。
「若者の貧困」とは、物質的な貧しさだけではなかった
NPO法人サンカクシャの皆さんと対話する中で私の中での問題意識が大きく変わり、「若者の貧困」という言葉の理解も大きく変わりました。
大学在学時には、生活に余裕のない家庭の中学生に勉強を教えるボランティアをしていたことや、私の子どものころの経験からも、「若者の貧困」と聞くと中高生を思い浮かべてしまっていました。また、「若者の貧困」とは、お金がないという状況、つまり物質的な貧しさを指すと考えていたのです。
しかし、NPO法人サンカクシャのターゲット年齢は「15歳〜25歳」。また、物質的な貧しさだけでなく、心の豊かさを持てずに苦しんでいるという精神的な貧困も考え、そこにも手を差し伸べようとしていました。この2つの点に非常に感銘を受けました。
自己責任論だけでは解決できない問題があることを認識し、本質的な解決を支援するという思いのもと、その過程を「ツナガル→イバショ→タイケン→ハタラク→アンテイ」と定義しています。
私の「若者の貧困」という言葉のイメージは、「物質的な貧困×中高生」の範囲だったのですが、「(物質的な貧困+精神的な貧困)×若者(12歳〜25歳程度)」に拡大されました。「若者の貧困」は社会の現状と深い関わりがあるテーマであり、今後も問題意識は変わっていくと思いますが、プロボノ活動は問題意識を広げる大きなきっかけとなりました。
ディレクターからの「相手が求めているものを提供するべき」という言葉で、仕事でも活きる大切な視点に気付く
事業計画作成支援において、会計にあまり詳しくない方にどのように伝えるかについて、一緒に支援を行ったディレクターの方に言われた言葉が印象的でした。
私は普段監査業務に従事しており、監査の中でクライアントや同僚、そして先輩と関わっています。つまり、会計のプロフェッショナルたちと一緒に仕事をしています。
しかし、今回の事業計画作成支援では、会計に詳しくない方に分かりやすく伝える必要がありました。また、締め切りが迫っている中での時間的な制約の中での作業でもありました。そんな中、一緒に作業を行ったディレクターから、「相手が求めているものを提供するべきであり、詳しすぎる内容は求められていないかもしれない」という言葉をもらい、監査以外のコンサルティング業務などにおいて重要な考え方をこの一幕で学ぶことができた気がしました。相手の求めるものを理解し、相手の求めるものを提供するという視点です。
また、私は入社以来主に監査業務に携わってきたので、事業計画作成支援という普段は行わない業務を経験できるコモンズ活動に参加して良かったと思っています。