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【長野県みらい基金】ITツールと関連する業務プロセス改善支援 プロボノ参加者インタビュー

PwC Japan有限責任監査法人では、2021年から公益財団法人長野県みらい基金に対して経営基盤強化支援のプロボノ活動を継続的に行っています。本稿では、「ITツールを導入したものの十分に活用しきれていない」「既存業務の効率化に繋げられていない」といったシステム導入に関して、基金側が抱える課題解決に3カ月間にわたって取り組んだ3名のメンバーに、活動を振り返ってもらいました。


メンバー紹介

左からHarata、Matsuura、Miki

M.Matsuura:
2023年に中途で入所したMatsuuraです。前職では大手通信事業会社向けのSI事業に従事しており、PwC Japan有限責任監査法人入所後はサイバーセキュリティ、ビジネスレジリエンス関連のアドバイザリー業務を主として担当しています。今回の取り組みにおいては、チームメンバーの一員としてクライアントとのコミュニケーションや各種調査を行いました。

M.Miki:
2022年入所、新卒3年目のMikiです。現在は主に大手製造業や金融業などに対するアシュアランス業務と、公共領域に対するアドバイザリー業務に従事しています。今回の取り組みにおいては、チームメンバーの1人として、現地訪問も含めたクライアントとのコミュニケーションや、施策の調査や検討などを行いました。

R.Harata:
Mikiさん同様、2022年入所のHarataです。主に大手製造業や電力会社に対するアシュアランス業務や、AIやデジタル活用におけるガバナンス構築のアドバイザリー業務に携わっています。業務外では、社会課題に対して何かしらの形で尽力したいという想いで1年目の時からプロボノに関与してきました。今回はプロボノ自体2年目ということで、ディスカッションペーパーの作成含め、当プロジェクトをリードしました。

公共的活動団体と寄付者をつなぐ「長野県みらい基金」

Matsuura:
長野県みらい基金は、資金不足に悩みながらも福祉/教育/環境保全などの公共活動に取り組む団体と、長野県民や企業などの寄付者をつなぐ役割を担っており、資金の仲介を通して持続可能で豊かな地域社会の創発と発展に寄与する仕組みを提供しています。具体的には、以下のような事業を通して長野県内で活躍する多くの非営利組織を支援しています。

  • 社会貢献活動を行うNPO等公共的活動団体への寄付金を集め、助成する

  • NPO等公共的活動団体がより良い事業を展開できるよう、組織力・事業力の 向上を図る

  • さまざまなセクターが得意分野を活かし、社会を支えることができるよう、パートナーシップを推進する

PwC Japan有限責任監査法人はかねてより長野県みらい基金を支援しており、2021年には長野県みらい基金の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を整理し、これらの実現に向けた中長期目標を策定しました。

しかしながら、公共的活動を実施する団体、寄付者ともに増加し続けている中で、中長期目標達成に向けたリソースを確保することが難しいという課題を抱えていたため、今回の支援では、2021年に策定した中長期目標達成に向けたリソースを確保すべく、既存業務の効率化に向けた支援を行うこととしました。

制約の多い中で解決策を考える難しさに直面

Harata:
普段関わっているクライアントとは異なり、地方の団体に対する支援でしたが、それによって何か印象的だったことや苦労したことはありますか。

Matsuura:
前職含めこれまで相対してきたクライアントと比較して、直面している課題の切迫度合いや対策にかけられる予算が大きく違っていた点が印象的でした。例えば、データ管理方法の改善について検討した際に、「現在は市販のストレージでデータを管理していて、そのストレージが壊れてしまうと全てのデータが損失してしまう可能性がある」という話を伺った時には驚きました。一方でクラウドストレージの選択と移行、運営が難しいという意見もいただき、これまで関わってきたクライアントとは異なる目線で対策を検討する必要がありました。

Miki:
確かに、現場の導入コストや運用コスト、導入による利益など多角的な方面から分析して施策を比較することで、意思決定につなげられるような支援ができたのではないかなと思います。

Harata:
支援開始当初、実際に業務プロセスの中でどのような課題があるのかを長野県みらい基金の事務所を訪問し、ヒアリングしました。

私たちはコロナ禍での入社もあり、なかなか対面での訪問機会も少なく、「ヒアリング⇒ヒアリングを踏まえたうえでの課題整理⇒アウトプットや方針の策定」という流れを1日で実施したのが初めてだったので、そこも苦労した点でした。初めてではあったものの、事前に準備していたヒアリング事項に対して目的意識を持って、質問をぶつけて、仮説検証を繰り返すプロセスを経験できたのは、貴重な機会でした。訪問時に長野県みらい基金の方々が温かく私たちを迎えてくださったこともあり、無事にヒアリングを終えた際には達成感がありました。

Miki:
実際に現場の人の声を聞いたり作業を目にしたりすることで、理論上整理しきれない、現場の温度感や反応を知る良い経験になりました。業務プロセスの改善支援をする上では、対面で直接現場に触れ、クライアントの課題やニーズをより詳細に把握することも非常に重要だと学びました。

「地に足のついた提案」に必要な視点を考える機会に

Miki:
通常のプロジェクトに比べ、若手が主体となって進めていくことで、クライアントの課題把握から解決方法の提示までの一通りのプロセスを自力で組み立てる力が身に付いたと思っています。例えば、クライアントも自覚していないような真の課題を洗い出すために、材料を揃えて整理したり、数多くある解決策をプラスになる論点と現場の労力とのバランスを考慮して提示したりする経験ができました。内部での検討ミーティングの時点から、「常に何を伝えたいのか」「質問の意図は何か」から考える習慣が付きました。

Harata:
実際私は初めてプロジェクトのリードをやらせていただきましたが、プロジェクトの目的を達成するために「何をやらなければいけないのか」「どう人を巻き込んでいくか」など、実際の業務で将来的に必要になってくるプロジェクトマネジメントを経験できたと思っています。どこを支援スコープにして出口をどのように見据えるかなどを考えながら、論点を整理していくことができるようになり、日頃の業務でも活きているように感じています。

Matsuura:
前職ではこういったプロボノ活動に携わる機会がなかったので、地方の団体が抱いている熱い想いや、直面している課題に直に触れることができたのは良い経験だったなと思います。自分がこれまで関わってきたクライアントとは目線の異なる課題を抱えていたので、「クライアントの実情を把握したうえで地に足のついた提案をするためにはどうすれば良いか」を考える良い機会を与えていただけたと思っています。

クライアントに対して妥協せずに真摯に向き合えているか、それが私にとっての「Integrity」です。これは妥協せず正論を押し通すという意味ではなく、クライアントの置かれている状況を踏まえて妥協せず落としどころを考え続けることを意図しています。クライアントにとっての最適解を探るために、職階関係なく議論し続ける文化がPwCには根付いていますし、自分も常にそうあり続けたいと思っています。(Matsuura)

私にとっての「Integrity」は、本来の目的を意識した行動を選択することです。「Integrity」というと、誠実、真摯、高潔といったイメージを持ちます。これだけ聞くと際限なくできることがありそうですが、実務において何をすべきか考えるにあたっては、私は本来の目的を見失わず、目的を達成するために必要かどうかという基準が重要だと考えています。必要な選択をしながらも、選択したものについて妥協せず、正直に取り組むことが私にとっての「Integrity」です。(Miki)

Integrityとは「誠実性」と訳されたりしますが、「誠実性」をブレイクダウンしたときに、誠実であるために、私は何事に対しても自分が何をすべきか常に考えて行動すること、それが私にとってのIntegirityです。やったほうがいいと思ったことや正しいと思ったことを妥協せず行動に移し、上の年次の方にも発信する。その発信を受け入れてもらえる文化が根付いているからこそ、「Integrity」を実現できているのだと思っています。(Harata)

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