海外赴任できるのはマネージャーだけ? 若手職員がニューヨークで海外生活を送るまで
PwC Japan有限責任監査法人の名古屋事務所からPwC米国のニューヨークオフィスに赴任している職員が、海外赴任に至った経緯や現地での生活について紹介します。
海外赴任を考えていなかった私が、なぜ挑戦したのか
米国ニューヨークに赴任して2年弱が経ちましたが、刺激的な毎日を送っています。現地でのリアルな海外赴任生活をレポートしたいと思いますが、「マネージャーでもない若手職員が海外赴任できるの?」と思われている方も多いかもしれないので、まずは私が海外赴任するに至った経緯をお話ししたいと思います。
実のところ、もともと海外赴任の希望はありませんでした。マネージャーにならない限り海外赴任はなく、マネージャーになるということも考えていなかったので、自分には関係ないものだと思っていました。そんな折、あるチームの食事会に参加した際、パートナーから海外のシニアアソシエイトが不足していて、日本にもリクエストがあるという話を聞きました。今の自分にもチャンスがあるんだと知り、「挑戦してみたい!」と思い、すぐにそのパートナーに興味があることを伝えました。その後、海外赴任制度を担当している方から具体的なお話をいただき、「ぜひやります!」と答え、赴任が決まりました。
ただ、不安がなかったわけではありません。中学2年から高校卒業まで海外で生活していたので英語に苦手意識はなかったのですが、シニアアソシエイトに昇進してすぐの赴任という点で、シニアアソシエイトとしての業務経験がない状況での新しい環境への挑戦には不安がありました。
ただ、PwC Japan有限責任監査法人の名古屋事務所はグローバルに展開するクライアントが多く、私も監査調書が英語の案件に関与していたので、その経験が赴任先でとても役立っていると感じます。会計や監査の用語、表現の理解だけでなく、海外の監査人とのメールのやりとりや電話会議への参加経験なども、こちらでの仕事に役立っていると思います。
赴任先での1日のスケジュール
ここからは業務がある日の標準的な1日のスケジュールをお伝えします。
9:00 出社。アシスタントチームとミーティング
アシスタントチームとのミーティングにて、毎日タスクの進捗確認をしています。
10:00 チームミーティング
日本のように何かを“察する”という文化がないため、はっきりと意思を伝えないと認識に相違が生まれます。今まで以上にはっきりとモノを言う性格になりました。
12:00 ランチ
基本的に家から持ってくるか、テイクアウトしてオフィスで食べます。私はサラダを食べることが多いです。
14:00 クライアントミーティング
18:00 終業
オフィス帰りにスーパーで買い物して帰るか、PwC米国への出向者や現地の同僚とご飯を食べに行ったりします。
野球観戦に行く時は17:30に退勤してそのまま球場に向かいます!
こちらでは主に日系企業の子会社の監査(非上場部門)を担当しています。役割としてはアソシエイトやアシスタントチームによる成果物のレビューがメインです。日本では成果物のレビューの経験がなく、初めは苦労しましたが、チームメンバーのサポートを受けながら経験を積み、徐々に対応できるようになってきました。他には、エンゲージメントの予算管理など、日本でのマネージャー業務に近い仕事も担当しています。
非上場部門は1月~4月末が繁忙期になりますが、明確な期日がある上場部門と違って、監査期間が長い傾向があります。これは繁忙期が1カ月程度で終わる日本とは異なる点です。ただ、繁忙期であっても休みやプライベートの時間が日本に比べれば多いので、適度にリフレッシュしながら働くイメージです。
監査期間が長くなることは正直、性に合わなかったですが、あまり力み過ぎない働き方に徐々に慣れていきました。新しい環境で新しい仕事にチャレンジする中で苦労もありますが、成長を実感することができています。
米国にいるからこその経験を大事にしたい
プライベートを充実させることは良い仕事にもつながると思い、色々な楽しみを見つけています。
例えば、週末にトランポリンのワークアウトに通っています。その日は友人とのランチを予約し、それをモチベーションにワークアウトに取り組んでいます。ワークアウト後の友人とのランチは、週末の始まりを実感できる至福の時です。その後は、5番街でショッピングやカフェを楽しむこともありますし、家に帰って、猫と昼寝をしたり配信動画をみたりして、まったり過ごすこともあります。
夜はスポーツ観戦に行くことが多いです。バスケットボールも野球も多くの日本人選手が米国で活躍していて、現地の人たちが当たり前のように日本人選手のユニホームを着たり、名前を呼んだりしているのを見ると、とても誇らしくなります。
まとまった休みが取れたら旅行に行きます。「せっかく米国にいるのだから、その間に行けるところには行っておきたい!」と思い、米国内だけでなく中南米へも精力的に訪れています。
一番感動したのは、赤道直下にあるエクアドルの首都キトとガラパゴス諸島です。その土地ならではの体験や美しい太平洋の海、珍しい動物たちを間近で見ることができ、心が動かされました。
これからも米国にいるからこそできる経験を大事にしたいと思っています。
一歩踏み出す勇気と行動力が大切
仕事、プライベートとニューヨークでのリアルな海外赴任生活をレポートしてきましたが、どうでしたでしょうか。もし会計士になって海外で仕事をすることに興味を持っていただけたなら、ぜひ、その気持ちを大事にしていただきたいです。まずは自分が興味を持っていること、いつか海外で仕事をしたいと思っていることを周りの人たちに伝えることが第一歩だと思います。英語に自信がなくても、相談することで、具体的な勉強法など、周りの人たちからアドバイスをもらえます。また、名古屋事務所では若いうちから日本にいながらグローバルな仕事に携わることができるので、その経験が「私にもできるかも」という自信になっていきます。
一歩踏み出す勇気と行動力を大切にしてください。そうすれば、私がそうであったように、いろんな可能性が広がってきますよ。