「CEOから私宛にメールがきて驚きました!」 PwC独自の活動「スタッフフォーラム」とは?
スタッフフォーラムとは何ですか
スタッフフォーラム活動とは、私たちスタッフが日々の業務で感じる課題について、経営陣との協議や法人内の関係部署とのヒアリングセッションなどを行いながら解決案を提案し、法人の中長期的なアクションプランにつなげていく試みです。スタッフフォーラムのメンバーは各部門のシニアアソシエイトから選ばれ、約1年間にわたって活動します。
私が参加した第4期のメンバーに対して投げかけられた最初のお題は「2030年にあなたがPwCのリーダーになったら何がしたいか」でした。問われたのは2023年でしたので、「7年後に自分がこの組織の何らかのリーダーになるってどういうこと?」「リーダーとしてやりたいことって何だろう?」と、最初はイメージがつかないところから始まり、最終的に私が個人テーマとして発表したのは「会計監査という仕事に付加価値をつけて提供できる人材を育てたい」ということでした。その背景には、忙しい業務のなかでやりがいや仕事の価値を見出せなくなっていそうな自分の後輩たちの姿が気にかかっていたことがあり、なんとなく「未来に希望を持てていない空気感をPwCの経営陣は気づいていないのだろうか」という他責思考の怒りがありました。
このように、スタッフフォーラムでは最初に各自がテーマを持ち寄って発表するところから本格的に活動が始まります。今振り返ると、それは自分と向き合い、仲間との徹底的な対話を通じて自分が変わり、組織を変えていく提案につなげるにあたっての大切な過程であり、そのようなリーダーに私たちが成長していくという、第4期の活動目標を達成するためのとても効果的な第1歩だったのだと思います。最終的に私の思考がどう変わったのかについては記事の後半で少し触れようと思います。
どのような活動をしてきましたか
第4期のメンバーは、PwC Japan有限責任監査法人の中期経営計画「Assurance Vision 2030」で大事にされている理念を踏まえて各チームのテーマを考えました。私が所属するチームでは、多様な専門性をもつメンバーが集まる組織を目指すために、一人ひとりが主体的に自分の目指すキャリアを描き、必要なスキルを実務の場で身に付けることのできる仕組み作りを検討しました。チームメンバーは所属する部門も事務所も異なるため、隔週でオンラインミーティングを行って議論を重ねたほか、関連する部署にヒアリングを行い、それらを踏まえて考えた施策を経営陣に提案し、意見をもらうという流れを繰り返すことで施策内容をブラッシュアップしていきました。
経営陣との印象的なやり取りを教えてください
スタッフフォーラムの活動で印象的だったのが、経営陣や事務局の皆さんが常に「この場所で話したことは立場に関わらず尊重され、業務や評価に影響することはないから安心して議論をしてほしい」というメッセージを発信し、フラットな議論ができるような環境づくりに努めてくれたことでした。そもそもPwCの組織風土として、比較的オープンでフラットな雰囲気の方が多い組織だと日頃から感じていますが、スタッフフォーラムに関わってくださる方は特に、私たちシニアアソシエイトとかなり離れた上のほうの職階の方々であるにも関わらず、非常にフランクに同じ目線で話してくださる方ばかりだったので、私たちも相手を信頼してオープンに議論をすることができたと思います。
施策を経営陣に提案した際も、「すごく面白いアイデアだね」「実は自分も前からやってみたいと思っていたんだ」「こういう点が懸念になってきそうだけどどうかな」「実務的にはこういったことが障害になってきそうだね」「小さくまとめずに最初に抱いた思いを形にできないか考えてみて」とさまざまな方向から意見をいただき、私たちも「それならこういうアイデアはどう思いますか」「私たちはこういう思いを持ってこの提案をしているので、その指摘には同意できません」など、かなり率直に議論ができたように思います。
また、活動の中盤、各チームが中間発表をしたあとに、PwC Japan有限責任監査法人の現在の代表執行役CEOを務める久保田正崇さんから、直接私に宛てて「各チームの施策内容がこういう点でリンクしているように思うから、チーム間で連携してみてもいいかもしれないですね」という気づきのメールをいただいたことがあります。普段の業務では直接お話しすることのない、全社向けアナウンスでしか見かけたことがないような、テレビの中の人のような感覚だった方なので、そのときは本当に驚きました。それも、「自分が気付いたことを仲間に共有しようと思いついて連絡した」くらいの素朴で率直なメッセージだったため、私もその厚意に行動で応えたいと思い、すぐに各チームとミーティングを行い、連携できるポイントを探り始めました。
PwCには、入社年次に関わらず、誰でも、誰に対しても自由に声を上げることを推奨するSpeak Upというカルチャーが根付いています。Speak Upというと下から上に提言するイメージが持たれがちですが、立場や職階に関わらず建設的な意見をお互いに交換することがSpeak Upであると思いますし、スタッフフォーラム活動での会話はまさにそれを体現している場だと感じました。
提言に込めた想いを教えてください
PwCは部門や法人間の垣根が低く、「こうしたい」と発言すれば周りの人がサポートしてくれるので、自分でキャリアを選択しやすい組織だと思っています。ただ、どうしても自分が所属しているプロジェクトや部門の状況によっては異動がしにくかったり、目の前の業務が忙しく、自分の将来に関して具体的に考える時間が持ちにくかったりするという悩みがありました。しかし、Assurance Vision 2030では各自が多様な専門性を持てるように自律的に行動することが期待されています。特に若い世代が法人内でのキャリアパスをイメージしやすい仕組みがあり、自分が身に付けたい専門性を磨くにはどの部門でどんな仕事をしたら良いのかという情報が容易に比較、検索できることが重要です。また、メンバーそれぞれがもつスキルが可視化されていれば、ジョブの管理者側としても、自部門だけでなくPwC全体からより良い人材を探すことができます。それはクライアントへのサービス向上にもつながると思いますし、PwCが多様な専門性を持つ職員が多い組織になり、社会のより困難な課題を解決することができるようになると思います。私たちのチームの施策はその土台部分の構築に何か寄与できたらと思っています。
スタッフフォーラムに参加した感想を教えてください
普段の業務ではつながらない人たちとたくさん話して、自由で創造的な活動ができてとても楽しかったです。
また、物事を考えるときの視野が広がりました。冒頭で記載したように、私は普段監査部門で会計監査をしているので、こういった身近な業務に関連した人材育成に焦点が当たっていたのですが、チーム活動期を経てもっと組織レベルで人材が育成され、それらの人材が社会で活躍すればPwCの価値が高まり、クライアントサービスにも寄与するはずだという、より広い視野を得られたのは良い経験だったと思います。さらに、いま当時の自分を振り返ると、冒頭で「他責思考の」と自己評価できたことそのものが自分の意識が変わったという何よりの証拠だと改めて感じました。「誰かにやってもらうのではなく、自分で周りを、組織を変えていくんだ。それができる組織に私はいる」と思えるようになったということがとても大きな変化だったのだと思います。
さらに、経営陣の皆さん、事務局の皆さん、スタッフフォーラムメンバーあわせて30名ほどと知り合えたこと、同じ体験をした仲間がいろんな部門にいるということが自分にとっての大きな財産になったと思います。